女性の心身の不調には特有のものがあり、その発症や経過などには特徴があることがわかっています。その原因としては、女性ホルモンの変化(月経や更年期)などに加えて、就職、結婚、出産、育児、介護などさまざまなイベントによるストレスがあります。
女性特有の代表的な疾患としては、「月経前症候群(PMS)」と「産後うつ」、「更年期障害」があります。
「月経前症候群(PMS)」は月経の3日〜10日前から気分の変動やイライラ、不安感などが起こるもので、月経の訪れとともに症状は軽くまたは消失します。PMSよりも症状の重いものが月経前不快気分障害(PMDD)で約3〜7%の方に起こります※。
「産後うつ」は、産後に起こる体内の急激なホルモンの変化により、情緒が不安定になった状態です。産後うつは子どもに悪影響を与える可能性があり、早期に治療を始める必要があります。適切に治療を行えば、充分に改善可能な疾患です。
「更年期障害」は閉経前後の10年間に女性ホルモンが減少し、顔のほてり、発汗、動悸、めまい、気分の落ち込み、イライラ、不安、不眠、頭重感などの症状をきたします。個人差はあるものの、閉経後約5年程度で症状は収まってきます。
当院では、まずしっかりと症状やきっかけとなった出来事などを伺います。その上で、女性特有の心身の不調について丁寧に説明し、ひとりひとりの状況に合せて回復への治療を一緒に行なっていきます。
参考文献)
※ カプラン臨床精神医学テキスト 日本語版第3版 P946